ロマン派音楽は、ロマン主義の精神によって古典派音楽を発展させていった、19世紀のヨーロッパを中心とする音楽を指します。
バロック音楽や古典派音楽は後世の人々によって名付けられたのですが、ロマン派音楽は、当時の音楽家自らが自分たちの主義を主張するため自主的にロマン派と名乗っていました。
ロマン派音楽では、ひとりで自由に表現できるピアノが好まれ、ショパンやシューマン、リストに代表されるピアノ作品が多く作られます。
音楽史では、1827年ベートーヴェンの死を境に、古典派とロマン派とに分けていますが、実際は明確に区分できるものではなく、数年をかけて古典派からロマン派に移行しています。
ですので、移行期は古典派音楽とロマン派音楽が混在していることになります。
例えば、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンやフランツ・ペーター・シューベルトなどは、古典派時代に活躍しましたが、その音楽は、同時にロマン派時代の基礎をも築きました。
ロマン派音楽は、1世紀あまりの間に多くの表現手法がみられることから、音楽史では19世紀の半ばを区切りとして前期ロマン派と後期ロマン派に分けられています。
後期ロマン派に当たる19世紀後半になると、ロシアやボヘミアなどの音楽後進国にもドイツロマン派の流れが押し寄せ、民族主義を取り入れた国民楽派(あるいは民族楽派)が生まれました。
ロシアではグリンカによりロシア国民楽派の基礎が作られ、ロシア五人組(ボロディン、キュイ、バラキレフ、ムソルグスキー、コルサコフ)によって普及します。