音楽史

ここでは、ピアノという楽器が生まれたバロック時代から要約して解説します。

◆バロック時代◆

ルネサンス期の終了する1600年頃からバッハが亡くなる
1750年頃までの時代をバロック時代と呼び、この時代に活躍した
作曲家ヘンデル、バッハ、ゲオルク・クープラン、ヴィヴァルディなどに
代表されるヨーロッパ音楽をバロック音楽といいます。
(なお、18世紀前半を前古典派時代として、バッハとヘンデルを、前古典派に含める場合もあります)

バロックという言葉は、ポルトガル語で「歪んだ真珠」を意味するという
単語に由来しており、バロック時代のバロック音楽を、彫刻や絵画等と
同じように、装飾過ぎる傾向を嘲笑い、バロックと呼ばれるようになったといわれています。

ドイツではプロテスタントの教会音楽を中心に諸国の音楽を融合した様式が成立し、
その成果はバッハによって融合され次の時代に引き継がれた。

バロック以前は、合唱音楽を中心とした声楽音楽が栄えましたが、
バロック時代には、オペラなどの歌劇音楽が誕生し、ヴァイオリンやピアノなどの
器楽の進歩により本格的な器楽音楽が完成しました。

また、このバロック時代には、名器として名高いストラディヴァリのヴァイオリンが生み出され、ピアノが発明されました。

◆古典派時代◆

音楽史では巨匠バッハの死(1750年)からベートーヴェンの死(1827年)までを古典派時代とし、古典派時代の音楽を古典派音楽と呼んでいます。

古典派音楽は、18世紀後半を中心とする、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトに代表される音楽家がウィーンで活躍した事により、
ウィーン古典派とも呼ばれています。

バロック時代から古典派時代に移るこの時期は、音楽家の世代交代が如実に見られ、
多くのバロック音楽家たちは、時代遅れと評価されるようになってしまいました。

巨匠と言われたバッハでさえも、晩年は人々から忘れ去られてしまい、
生涯をひっそり閉じたといわれています。

代わって、この頃全盛期にあったのが「交響曲の父」ハイドンであり、
1756年には音楽史に燦然と輝く天才音楽家モーツァルトが誕生して古典派の
最後を飾り、ロマン派の基礎を築いたベートーヴェンとシューベルトと続きます。

古典派音楽の特徴は、バロック音楽の特徴であった対位法による旋律を根幹とした
ポリフォニー(多声音楽)からホモフォニー(和声音楽)に変わったことです。

さらに、古典派以降の交響曲や管弦楽曲の基礎を成し、多くの交響曲や協奏曲、
弦楽四重奏曲などの作品が生み出されました。

なお、明快な調性感による楽曲も古典派時代に多数生まれますが、
その調性も豊かに変形しながら、次第に崩壊の道を歩むことになります。

特に、古典派音楽の業績として高く評価されているのは、
調性音楽の代表的な楽式であるソナタ形式やロンド形式の確立です。
また、ソナタ曲の一種である交響曲(シンフォニー)や
協奏曲(コンチェルト)、二重奏~五重奏の室内楽曲なども古典派時代に
多数作曲されています。

◆ロマン派時代◆

ロマン派音楽は、ロマン主義の精神によって古典派音楽を発展させていった、
19世紀のヨーロッパを中心とする音楽を指します。

ロマン派音楽では、ひとりで自由に表現できるピアノが好まれ、ショパンやシューマン、リストに代表されるピアノ作品が多く作られます。

音楽史では、1827年ベートーヴェンの死を境に、古典派とロマン派とに分けていますが、実際は明確に区分できるものではなく、移行期は古典派音楽とロマン派音楽が混在していることになります。

例えば、ベートーヴェンやシューベルトなどは、古典派時代に活躍しましたが、その音楽は、同時にロマン派時代の基礎をも築きました。

ロマン派音楽は、音楽史では19世紀の半ばを区切りとして前期
ロマン派と後期ロマン派に分けられています。

前期ロマン派とされるウェーバー、シューベルト、メンデルスゾーン、ショパン、シューマンらの作品は古典はのソナタ形式を受け継いでいる場合でも、転調の多様性、不協和音の活用、不完全終止形など自由な自己表現をしています。

後期ロマン派に当たる19世紀後半になると、ロシアやボヘミアなどの
音楽後進国にもドイツロマン派の流れが押し寄せ、
民族主義を取り入れた民族楽派が生まれました。

ロシアではグリンカによりロシア国民楽派の基礎が作られ、ロシア五人組(ボロディン、キュイ、バラキレフ、ムソルグスキー、コルサコフ)によって普及します。

◆印象主義時代◆

印象主義音楽は、二十世紀初頭のフランスに興ったクラシック音楽の流派の一つで、
その代表的な音楽家にはドビュッシー、ラヴェル 、ホルストなどがいます。

印象主義音楽は、ロマン派音楽に見られるような主観的表現を斥け、
激しい情緒や物語性の描写よりも気分や雰囲気の表現に比重を置いた音楽様式です。

ドイツに於けるロマン派音楽期の後期の行き過ぎの反動に始まり、
中世西洋音楽やルネッサンス音楽等バロック音楽期以前の音楽様式の影響の下、
長調と短調をぼか すような音楽語法、非機能的な和声法や完全音程の平行、旋法性、不協和音の多用、簡潔で明快な形式を特徴とします。

印象主義の音楽とは、美学的に言うと、感情を表現しようとか物語を語ろうとか
するのではなく、気分や雰囲気を喚起しようとするものである。

印象主義者はこの実現の為に、 全音音階を積極的に用いて、夢見心地の、
ちょうどクロード・モネの画風に見られえる様な「気だるい」効果を作品にもたらします。
不協和音の全般的な活用や全音 音階の利用は結果的に和声進行が曖昧になります。
様式的には従来の終止形を中心とする古典原理に対して音色原理を全面に押し出した
音響感覚的なものとなります。
この音色原理が優位にたつという意味での印象主義的手法は、ドビュッシー、ラヴェルなど本来の印象主義者の作品以外にもみることができます。印象主義はその後の音楽に大きな影響を与えています。

◆現代音楽◆

現代音楽は、西洋クラシック音楽の流れにあり20世紀初頭以降から現在に至る音楽を指します。
ドイツ語では「Neue Musik」、
英語では「20th century classical music」などと
表記されるようにその定義も非常に曖昧であり、
他の時代の西洋音楽史の区分のように、様式によって区分されたものではないと
言えます。

作曲家は数多くいますが、バルトーク、ストラビンスキー、プロコフィエフ、ガーシュイン、ハチャトゥリアン、ショスターコービッチなどがいます。

現代音楽は調性をはじめとする従来の音楽様式を否定した先鋭的な音楽を指すことが多く、最も顕著な特徴は無調への傾倒と不協和音の多用であり、また、一般大衆向けよりもどちらかというと、一部のマニア的聴衆や専門家向けに書かれることが多いとも言えます。